DATA RELIABILITY

データの信頼性について

MIRAI VALUE の予測が、どのデータに基づき、どう組み立てられ、どの程度の精度で検証されているかを公開します。都合の良い数字だけを載せることはしません。

1. 使用しているデータ

次の公的データ・実データを組み合わせて分析しています。「都道府県だからいくら」といった決め打ちの表は使わず、可能な限り市区町村・地点単位の実データを優先します。

  • 地価公示・都道府県地価調査(国土交通省 不動産情報ライブラリ)— 全国 62,669地点 の公的な地価評価額。2010年〜2025年の年次履歴を地点ごとに保持しています(1地点あたり中央値で14年分)。
  • 不動産取引価格情報(同上)— 実際に成約した取引価格。市区町村×物件種別ごとの実勢㎡単価を作るのに使います。
  • 将来推計人口(国立社会保障・人口問題研究所)— 市区町村単位の人口推計。地価トレンドの補正に使います。
  • ハザードマップ関連情報(国土交通省)— 洪水・地震・土砂・液状化のリスク評価。

2. 予測の組み立て方

予測は「今いくらか」と「これからどう動くか」を分けて計算し、最後に掛け合わせています。

① 現在価格を積算する

物件種別ごとに評価手法を変えています。土地は単価×面積で、経年減価を一切かけません。一戸建ては価格を土地と建物に分け、建物部分だけを構造別の耐用年数(木造22年/軽量鉄骨造27年/鉄骨造34年/RC・SRC47年)に基づく残存率で減価させます。耐用年数の時点で残存率がおよそ10%になる滑らかな指数カーブを使うため、築古でも土地値が残る「古家付き土地」の実態を表現できます。マンションは市場が専有面積㎡単価で取引される実態にあわせ、土地と建物を分離せずに評価します。

② 地価トレンドを抽出する

物件の緯度経度から半径3km以内・最大5地点の地価公示/基準地を探し、距離で加重平均します。各地点は単年の前年比ではなく、複数年の履歴を対数線形回帰で平滑化した年成長率を使います。市区町村の平均値ではなく地点そのものの実測値を使うため、同じ市区町村内のエリア差を反映できます。

③ 人口動態で補正する

人口が減っているエリアでも、全国的な地価回復トレンドの影響で、地点履歴だけを見るとプラスに出ることがあります。そこで人口動態から推定した成長率を 30% の重みでブレンドします(地点トレンドが主、人口動態が補正)。この重みは感覚ではなく実測で決めています(第5節)。

④ 予測レンジを出す

表示する価格帯は、現在価格の推定における10〜90パーセンタイル(=80%レンジ)の相対的な幅を、将来年にもそのまま引き継いだものです。この幅は予測年数が伸びても広がりません。実際の不確実性は遠い将来ほど大きくなるため、レンジの幅は「予測年数に応じた不確実性」ではなく「現時点の価格推定のばらつき」を表すものとしてご覧ください。予測年数による確からしさの違いは、第3節の期間別の精度をご確認ください。

3. 予測精度の検証結果(期間別)

予測ロジックのうち「地価がどう変化するか(地価成長率)」の部分を、2010〜2025年の実データで検証しました。全国62,669地点から作れる検証ケースは1,405,218件あり、そこから無作為に10,000件を抽出して集計しています。MAPE は誤差率の中央値、方向一致率は「上がる/下がる」の向きが当たっていた割合です。

掲載しているのは、実際のサービスと同じ計算(第2節③の人口動態補正を含む)を通した場合の数値です。全期間を合算すると MAPE中央値 2.0%/方向一致率 81% になります。

予測期間検証件数MAPE(中央値)方向一致率
1年後3,6990.9%84%
3年後2,9802.4%81%
5年後2,3624.0%79%
10年後9599.3%76%

期間が伸びるほど精度は落ちます。1年後の誤差1%弱に対し、10年後では9.3%と10倍近くまで広がります。方向一致率も84%から76%へ下がります。長期の数字は「そういう傾向にある」という参考値としてご覧ください。

4. 検証対象による精度の違い

同じ「予測」でも、何を予測するかによって精度は大きく変わります。ここを混ぜて説明しないことが重要だと考えています。

予測対象集計単位1年後 MAPE1年後 方向一致率
地価成長率(公示地価・基準地)地価公示・都道府県地価調査(国土交通省 不動産情報ライブラリ)地点単位0.9%84%
実際の売却価格不動産取引価格情報(国土交通省 不動産情報ライブラリ)市区町村単位14〜19%51〜63%

この2つの数字が大きく違うのは自然なことです。地価公示・基準地の評価額は、不動産鑑定士が前年の評価額を踏まえて毎年改定するため、変動が滑らかで予測しやすい性質があります。一方で実際の売却価格には、物件ごとの個別事情(売り急ぎ・リフォーム状況・交渉など)によるばらつきが乗るため、同じ地点・同じ時期でも誤差は大きくなります。

MIRAI VALUE の予測は、この2つのデータを組み合わせて算出しています。「地価成長率」自体の見立ては高い精度で検証できていますが、査定結果として表示される最終的な金額(実際の売却価格)は、市区町村単位の実成約データで検証したMAPE 14〜19%程度の誤差を目安としてご認識ください。

5. ロジックは実測で決めています

「人口動態をもっと重く反映すべきでは」といった改善案は、感覚で実装せず、必ず同じ検証データセット・同じ方法論で効果を測ってから採否を決めています。過去に「概念的には正しそうな変更が、実際に検証したら精度を悪化させた」前例があるためです。

人口動態のブレンド重みは 0.0〜1.0 を全国 n=10,000 で総当たり検証し、w=0.3 がすべての予測期間で最良という結果から採用しました。実際の総当たり結果が次の表です。

人口動態の重みMAPE(中央値)方向一致率
w = 0.0人口動態を混ぜない3.1%70%
w = 0.12.4%75%
w = 0.22.1%79%
w = 0.3採用2.0%81%
w = 0.42.1%80%
w = 0.52.5%77%
w = 1.0人口動態だけで判断6.4%52%

人口動態を一切混ぜない場合(w=0.0)と比べ、方向一致率は 70%→81%、MAPE中央値は 3.1%→2.0% に改善します。 効果が最も大きいのは長期で、10年後の誤差は 19.2%→9.3% と半減します。 一方、人口動態だけに頼る(w=1.0)と方向一致率は 52%、つまりコイン投げとほぼ変わらない水準まで悪化します。 「人口が減るから地価も下がる」は単独では予測に使えないということであり、だからこそ地点トレンドが主・人口動態が補正という比率を保っています。

6. データが薄いときは無理に予測しません

少ないサンプルから強引に傾きを引くと、それらしい数字が出てしまい、かえって危険です。次の基準を満たさない場合は、より粒度の粗いデータへ切り替えるか、算出自体を見送ります。

基準しきい値理由
1年あたりの最低取引件数15件件数の少ない年は中央値が跳ねるため集計から除外する
トレンド算出に必要な年数3年以上2点だけを直線で結んだ過剰な外挿を防ぐ
年成長率の採用レンジ−6% 〜 +12%一時的な急騰・急落をそのまま将来へ伸ばさない
人口動態から推定する成長率のレンジ−6% 〜 +8%人口推計単体は不確実性が高いため上下を抑える
近傍地点として採用する距離3km 以内離れすぎた地点は使わず市区町村単位へ切り替える

7. 検証方法(先読みバイアスの排除)

「ある年までのデータだけ」を使って将来を予測し、実際にその後どう動いたかを比較する方法で検証しています。未来の実データを予測に混ぜることは一切していません。全国の市区町村・地点を対象に、複数の基準年・複数の予測期間で繰り返し検証しています。

8. この予測でわからないこと

正直にお伝えしておきたい限界です。

  • 個別の物件を追跡した検証ではありません。「その物件が何年後にいくらで売れたか」を追えるデータは公開されていないため、同一地点・同一市区町村の実測値が基準年から目標年へどう動いたか、という集計ベースの検証です。
  • 人口推計の扱いに近似があります。検証では現時点で公表されている人口推計をそのまま使っているため、古い基準年に対してはわずかに先読みが混じります。地価データ側には先読みはありません。
  • 予期しない出来事は織り込めません。大規模災害、法制度の変更、金利の急変、再開発の中止・前倒しなどは、過去のトレンドからは読み取れません。
  • 物件の個別事情は反映されません。同じエリア・同じ広さでも、日当たり、眺望、隣地との関係、室内の状態、売り急ぎの有無などで、実際の成約価格は変わります。
  • 長期の数字ほど幅を持って見てください。第3節のとおり、10年後の予測は1年後の10倍近い誤差になり、値動きの方向も4回に1回は外れます。

※ 掲載の精度指標は 2026年8月 時点の検証結果です。検証データセット・検証時点によって変動します。 本サービスは統計的シミュレーションであり、将来の実際の価格を保証するものではありません。売却・購入の最終判断にあたっては、不動産会社の訪問査定や専門家の意見もあわせてご検討ください。